最近、高齢者によるアクセルとブレーキの踏み間違い事故が多く見受けられます。車の性能はどんどん改善されているはずなのに、ここにきてどうして目立つようになってきたのでしょうか?事故は悲惨な結果になってしまうことも少なくなく、明日は我が身かと思うと他人事ではありません。そもそも、その原因は何でしょうか?対策はあるのでしょうか?調べてみましたのでご紹介します。
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目次(ページコンテンツ)
アクセルとブレーキの踏み間違い事故の実態
毎日のようにアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故のニュースが絶えません。コンビニエンスなどの店舗に突っ込んでしまったり、駐車場から飛び出して暴走してしまうとか。痛ましいのは保育園児や小学生の歩道を歩く列に車が突っ込み、小さな命を奪ってしまうといった悲惨な事故もありました。
その実態はどうなんでしょうか?
踏み間違いは高齢者ドライバーだけじゃない
公益財団法人交通事故総合分析センターの「イタルダインフォメーション」の特集に、「アクセルとブレーキペダルの踏み間違い事故(事故分析レポート)」によりますと、高齢ドライバーは過去10年間で約2倍の17,063千人に増加し今後さらに増加傾向。ペダルの踏み間違い事故は75歳以上の高齢ドライバーが起こす割合が高くなっている。加齢の影響が原因と考えられ高齢ドライバーに特徴的な事故形態の一つになっている。とありました。
ところで警察庁などのデータにはアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故は20代の若者も多く、けして高齢者ばかりではないというのです。これは高齢者の加齢の影響が特別の要因ではなく、若い人も起こす可能性は十分にあるといういこと。つまり高齢による認知機能の衰えによって踏み間違えてしまうわけではない。
アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故は20代の若者も多い、けして高齢者だけじゃない。
死亡につながる事故は高齢者によるものが多い
ところが、死亡事故となると圧倒的に高齢者による事故が多いというデータもあります。となると、「若い人は踏み間違えに”早く気が付き”事故を防ぐまたは大事故に至らなかったのでは?」、「高齢者の方はその間違いに”気づくのが遅れて”しまってブレーキが間に合わなかったのでは??」と考えられるわけです。
まさか自分が今、踏み間違えていると思わず、またはそうだと気づくのが遅れたとしたら。その間もブレーキだと信じて思い切りアクセルを踏んでしまうのですから、クルマはエンジンをうなりをあげて暴走して大事故につながるということ。若者も高齢者も踏み間違いがあっても、高齢者のそれは死亡事故が圧倒的に多くなるということの理由ではないかと推察するわけであります。
間違いに気づくどころか事故後も踏み続けてしまうなんて。
ペダルの踏み間違い事故は駐車場で起きやすい
参考資料によりますと、「非高齢者(65歳以下)は単路での発生が多い」、「高齢者(65歳以上)は単路も多いが駐車場での発生が目立つ(増加率が大きい)」、「駐車場などでは発進や停止、バックするときに一番多く発生する」とあります。
低速時、しかも駐車場に入るときそこから出るとき、切り返して駐車スペースに止めるときが踏み間違える事故が発生しやすいというわけです。どうやらここに踏み間違えの原因が隠れているように思われます。
アクセルとブレーキを頻繁に踏みかえる頻度が増えるときがキケン。
駐車場に入る際に入口を探したり、周りの自動車や歩行者、信号と注意が散漫する中ペダルを踏みなおすことが多くなる。また、駐車をする際にはバックミラーを見たり、後ろを見たりと顔や体の位置が変わります。これらの変化がペダル操作に悪影響を及ぼしていると。
クルマを止めようとしたときに、ブレーキと思ってアクセルを踏んでしまったら突然クルマが加速してしまう。どうして?と理解不能のままアクセルをさらに踏んでしまうという悪循環。
注意が散漫してしまうときや運転姿勢の変化が、踏み間違いのきっかけになっているということになるのです。
直進で走行しているときでもアクセルとブレーキを間違えてしまう
駐車場で停止・発信するときだけでなく、普通に走行しているときは起こらないかというとそうでもない。やっぱり間違いはどこでも起きる。特にわき道からクルマや自転車などが飛び出して、「あっ」と思った瞬間!アクセルに置いていた足を驚いてそのまま踏んでしまうのです。
びっくりした瞬間のことですから、踏み間違いに気づく以前の問題。運転中、びっくりすることってけっこうあります。それだけに踏み間違いの危険も常にあるということ。そんなキケンがいっぱいの状況にドライバーは置かれていると。
ビックリしてアクセルとブレーキを踏み間違いもあるってこと、この認識をもっと持つ必要があるようです。
踏み間違い経験者は語る
年齢に関係なく踏み間違いを起こした全ドライバーの意見が参考になるようです。これは”踏み間違い”だけではなく”ハンドル操作不適”や”ブレーキ操作不適”とも同じ結果。要因が共通しているということが参考資料のレポート結果で分ります。それは、危険を認知しその回避行動をとる際に、慌て、パニックに陥ってしまった!というわけです。
慌て、パニックに陥り、よけいにブレーキと思って踏んでいるアクセルをさらに踏んでしまう。「危ないと思ってブレーキを踏もうとしたらアクセルを踏んでしまった」、「ブレーキを踏んでいるのにクルマが飛び出してしまう」、「ブレーキを踏んでいるのにどんどん加速してしまう」。危険⇒回避⇒踏み間違い⇒予想外の車の動き⇒慌て、パニック⇒間違えたアクセルを踏み続ける。
パニックが踏み間違いを暴走へと変えてしまう、だれにも起こることなのです。
なぜ踏み間違えてしまうのか?
運転席での姿勢の変化が、どうペダル操作に悪影響を及ぼすのでしょうか?もう少し探ってみましょう。
着座の姿勢とペダル操作
運転席に座っている姿勢の変化がペダル操作に影響を及ぼしているという調査結果があります。
高齢ドライバーが運転中に上半身を右方向にひねるような姿勢を取った状態でブレーキペダルを踏もうとした際には、無意識のうちにペダルを踏む足先が自然に右方向へ移動し、プレー期ペダルを踏むつもりでアクセルペダルを踏んでしまうことが考えられます。(中略)検証の結果、運転姿勢の変化によってペダルを踏む右足先の位置がアクセルペダル側にずれる傾向があることがわかりました。
引用元: 交通事故分析レポート⑤
特に男性の高齢ドライバーは、足が開く傾向があり同時に足先も開く傾向がある。なのでよけいにもアクセル側に近づいてしまい、踏み間違いの発生率が高くなるというわけです。女性の高齢ドライバーは男性ほど開かなくとも、筋力の劣れもあって右足先が大きく右に傾けたままブレーキペダルを踏むケースが見られる。軽自動車などはアクセルとブレーキのペダルの位置がより近いので、よけいにも右足先がアクセルに近づいてしまいがちになってしまいます。
そもそもこうした危険がある中で、駐車スペースにバックしようと右後方に体をひねるなどしてさらに危険度がアップしてしまう。
まっすぐ前を向いたまま姿勢が変わらなくともバックミラーに神経を集中していると、もともとアクセルに近づく傾向がある足右先ですから間違ってアクセルに触れてしまうということも考えられるということ。いずれにしても右足先が気が付かないうちに、その位置がズレてしまっていることが踏み間違いを起こしやすいということでした。
無意識にアクセルを踏んでしまう、とても怖い現実のお話です。
なぜ踏み間違えたときにアクセルから足を離さないのか?
冷静に考えたとき、たとえ踏み間違えてもアクセルから足を離せばすむこと。どうしてこんな簡単なことができないのでしょうか?高齢者だからでしょうか?そもそも、ブレーキペダルを強く踏めばクルマは止まると誰しも思い込んでいます。ところが、ブレーキペダルと強く踏めばクルマは加速したとなったらどうでしょう。頭はパニック状態です!
自分はブレーキを踏んでいるという認識です。反対にアクセルを踏んでいるのですからますます加速。止まるわけがありません。パニック状態の中どんどん加速してしまうわけですから、足を離すわけがありません。さらに強く踏み続けるというわけです。
私(管理人)も実際に駐車場に車を止めようと間違ってアクセルを踏んでしまったケースで、駐車場の壁にぶつかったまま動けないのにまだアクセルから足を離さないという事故に遭遇したことがありました。エンジンはうなりをあげ、タイヤからは白い煙が立ち上る。それでもアクセルから足を離さない!それもそのはずです。ブレーキを踏んでいるつもりなのですから。
もっと、もっと強く!とアクセルを踏んでしまったのです。
踏み間違いの事故はいつでもAT車
マニュアル車を探す方が難しいですから、単に踏み間違い事故はAT車だと言い切れません。それでもマニュアル車では踏み間違えて暴走することはありません。マニュアル車でブレーキを踏むこみ止まる際には、左足でクラッチを踏みます。
クラッチを踏めばエンジンの動力源を切ることになるので、間違っても暴走してしまうということは起こりません。加速をするにもマニュアル車はアクセルを踏み込むだけでなく、クラッチを踏んでシフトチェンジが必要ですからこちらも暴走してしまうということはないのです。ところがAT車はそうはいきません。
走行中でもAT車のアクセルを強く踏めば自動的にシフトダウンされて、これが急加速や急発進につながってしまいます。ブレーキのつもりが間違ってアクセルを踏み込んでしまえば、一気に急加速し止まるどころか暴走してしまいます。
このAT車特有の勝手にシフトダウンが急加速をまねき、こちらもアクセルとブレーキの踏み間違いでパニックにつながり事故の発生となってしまうわけです。
クリープ現象があだに
AT車のもうひとつの特徴に「クリープ現象」があります。シフトレバーが”D”や”R”に入っていると、アクセルを踏まなくてもブレーキから足を離しただけでも車が動き出す現象です。踏んでいるブレーキの足を離すだけでいいのでとっても便利です。
ところがブレーキから足を離している状態でシフトレバーを操作すると、緩やかですがクリープ現象でクルマが動き出します。ちょっとびっくりして慌ててブレーキを踏もうとして、誤ってアクセルを踏んで暴走!なんてことも起こりうるというわけであります。この時も無意識に右足先がアクセル側に近づいている中で、びっくりしてアクセルを踏んでしまった。
ブレーキを踏んでいるつもりですから強くアクセルを踏んでしまう。そもそも、同じ踏みという動作が求められるアクセルとブレーキのペダル。なのに結果は真逆。真逆の結果を招く同じ踏むという操作のペダルが、横に並んでいるという構造そのものも問題があります。
AT車特有の動きと構造にも危険が潜んでいるのです。
踏み間違い事故の防止対策
アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故防止は、いったいどうしたらいいのでしょうか?もちろんドライバーの注意や努力は言うまでもありません。運転に集中するとか運転操作の再確認とか、予期せぬところからの歩行者や車両に注意などなど。
しかしながら、人の注意や努力だけでは限界もあります。
自動車メーカーの取り組み
トヨタ、日産、ホンダ、スバルなどのメーカーによる、新たな安全技術の進化は日進月歩。具体的に、ADAS(高度安全運転支援システム)機能といって、ブレーキやステアリング操作に介入するものから、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の認知・受容もかなり進んでいます。
衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)システムには、単眼カメラとミリ波レーダーが併用されるタイプが主流。夜間やガラスなど視界の影響を受けるカメラをレーダー(電波)が補う仕組み。画像補正や画像認識技術に検知範囲や対象物の深度などなど。
より細かい状況認識が昼夜問わずに行われるという。
自動ブレーキは、
- 目の前に人や障害物があると自動的にブレーキがかかりぶつからない。
- 駐車場などの前や後ろに壁がある場合も誤ってアクセルを踏んでも動かない。
と、よそ見して障害物の発見が遅れて急ブレーキが間に合わなかったとか、とめてあった車が突然急発進、急加速、暴走しないようにブレーキがかかるということ。自動運転技術もかなり近づいているとの話題もあります。とはいえ、踏み間違い防止装置が新しく販売されるクルマに標準装備して世に出回るまでには、まだまだかなりの時間がかかる。
とならば、今運転しているクルマに取り付けられる装置も期待したい。
急発進防止装置
現在、運転しているクルマに後付けで取り付ける装置も販売されています。AUTOBACSで実際に販売され売れているのがこちら。
急発進防止装置の「ペダルの見張り番」(税込み、32,399円)。
ブレーキペダルを踏もうとして誤ってアクセルペダルを強く踏んでしまった際に、車両側の車速・ブレーキ信号を検知しアクセルを電気的に制御するスグレモノのようです。もちろん、オートバックスなど商品の購入と取り付けをしてくれるから設置の心配はない。
ペダルの見張り番
最寄り店舗にて在庫確認をお願いします
- 発進時などに間違えてアクセルを強く踏んでも車が急発進しない。
- 交代時の踏み間違いによる急発進も制御してくれる。
- 軽自動車からミニバンまで100車以上に幅広く設置可能。
- 1年間の交通事故傷害保険が付帯される。
引用元: 急発進防止装置「ペダルの見張り番」
高齢者の方だけでなく初心者の方、運転に不慣れな方にこちらは後付けで付けられるからおススメであります。
ご家族からおじいちゃん、おばあちゃんへの安心のプレゼンととしてもいいかもしれません!
アクセルとブレーキのペダルをひとつに、一体化装置
こちらは踏み間違いの事故を防ぐために開発された、アクセルとブレーキをひとつにまとめてしまって使う装置。
ナルセ機材有限会社が開発(価格は170,000円(税別、ナルセ機材持ち込み、右足操作用)。
ワンペダルとは、事故を防ぐためにアクセルとブレーキを一体化させた世界で唯一 (※国内及び国際特許取得済) の『安全設計ペダル』です。
操作方法ですが、通常のオートマチック車はアクセルとブレーキの2つのペダルを踏みかえて操作します。一方、ワンペダルは1つのペダルに足を置いたまま操作します。足を右に傾けるとアクセル。踏めばブレーキです。アクセルをかけたままでペダルを踏んでもクラッチが外れてアクセルは効かなくなり車の暴走を防ぎます。
運転中は、ペダルに常に足が乗った状態ですから「踏めば止まる!」という安心感から、心にも余裕をもって車の運転ができます。 とっさの時にでも「踏み間違い」「踏み損ない」「ブレーキの踏み遅れ」がありませんし、 ブレーキをかけるまでの時間(※空走距離)も短くなりますので、事故の回避、被害の最小化に大きく貢献します。
朝日新聞「アクセルの踏み間違い防止装置、都が購入費の9割補助へ」
少々お値段が頭の痛いところではありますが、行政が購入費の補助してくれるところもあるようです。
私の感想
アクセルとブレーキの踏み間違いでお店に車が突っ込んだり、歩行者の列に突っ込みケガをさせてしまったり。そんなニュースを聞くたびに、どうして踏み間違えちゃうのかなぁと不思議に思っておりました。万が一アクセルを踏んでしまっても、すぐ離せばいいだけじゃんと、正直、踏み間違えたドライバーを特別視したりしておりました。
YoTube、NHKクローズアップ現代「検証!ブレーキ踏み間違え事故は、どうして起こるのか?」
今はと申しますと、NHKクローズアップ現代のこの番組を観てからというもの人は間違えるもの。AT車のアクセルとブレーキは誰しもが間違えやすい構造であることと考え直して明日は我が身と気をつけるのです。
まったくもって他人事ではなくなっております。
(marusblog記事紹介)
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今回のまとめ
アクセルとブレーキの踏み間違いが原因で起きる痛ましい交通事故が、毎日のように報道されている現実。確かに事故を起こしたドライバーには、高齢者ドライバーが多い。踏み間違い事故=高齢ドライバー、という公式が勝手に浮かんでおりました。
今回、このテーマに注目してみますと、若い方々の事故も多いと知るや勝手にイメージしていた公式が崩れていくところでありました。結局のところアクセルとブレーキの、踏めば進む、踏めば止まるといった同じ行動なのに真逆の結果を生むペダルの存在。
この2つが横並びで近くにあるという構造的な問題。
ましてや、人は思っている以上に間違いを起こし、踏み間違いは誰しも起こることであるという認識が必要だということ。特に、運転席の姿勢が変わるとその曖昧さは大きくなり、構造上の問題+ドライバーの危うさ=危険が増大するということ。
誰しもが起きうるこの問題は、けして他人事でないということがよく分かった次第であります。
もちろん、これらを真摯に受け止めて、慎重に運転に心がける。踏み間違いの多くが発生する駐車場では、特に注意をして踏み間違いのないようにする。そうしたドライバーの注意だけでは事故は解決しないと。
自動車メーカーによる自動ブレーキなどの技術開発に期待しつつ、便利で快適なAT車の危険を改めて知ったところであります。高齢者ドライバーは年々増えていくという中、自分もその仲間入りであり毎日運転席に座っている以上他人事ではないと考えるところです。
自戒を含めて今回は、「車のアクセルとブレーキの踏み間違い事故はこうして起きる」をお伝えしました。
いかがでしたでしょうか。
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