「ああ、またやってしまった」。子どもに対して、職場の後輩に対して、あるいはパートナーに対して——。言わなくてもよかった一言、感情が先走った叱責。後悔するくらいなら最初から怒らなければよかったのに……と思いつつ、それができないから困っているのだ。そんな私に一筋の光をくれたのが、種市勝覺さんの『怒らない習慣力』だ。「怒るな」と言うのではない。「怒りと付き合う力」を育てよう、と言ってくれるこの本は、現代人のための“心の筋トレ”指南書とも言える。今回は、この本の要点を、私自身の小さな気づきやエピソードと絡めてエッセイ風にご紹介したい。

怒りは“自動反応”ではなく、“習慣”である

「怒るな」と言われてできるなら、
もう苦労はしていない。

でも種市さんは言う、
「怒りは一種の習慣である」と。

それは、長年染みついた「反応の癖」なのだと。

 

思い返してみれば、
私はよく「また○○が遅れてるじゃないか」と苛立っていた。

でもそれって、同じ場面で毎回“怒る”、
という選択を自動的にしていただけ。

つまり、条件反射のような「感情のループ」だったのだ。

 

では、習慣であるならば、
変えることもできるはずだ。

たとえば歯磨きのように、
新しい習慣をインストールすればいい。

怒りそうになったらまず深呼吸、
あるいは一歩引く。

そんな些細な行動が、
怒りを鎮めるスイッチになる。

 

「感情は一瞬で湧き起こるが、反応は選べる」——
これは本書で最も印象に残った一文だ。

怒りに“気づく”だけで、
怒りの主導権は自分に戻ってくる。

怒りの奥には、実は“弱さ”がある

かつて私は「怒る人=強い人」だと思っていた、
でもそれはまったくの逆だったようだ。

本書では「怒りは、実は『自分を守りたい』、
という恐れや不安から来ている」と解説されている。

つまり、怒っているとき、
私たちは心のどこかで「わかってもらえない不安」や、
「自分の立場が脅かされる恐怖」と戦っているのだ。

 

たとえば、職場で新人がミスをしたとき。

表面上は「仕事が遅い!」と怒っているが、
内心では「自分の責任になるのが怖い」、
「上司に評価を下げられたくない」と焦っている。

つまり、怒りは“防衛反応”でもある。

 

そう思えば、
怒っている相手を見る目も少し変わってくる。

「この人もきっと、何かに怯えているのだな」と。

自分の怒りに対しても、
「ああ、今の私はちょっと不安だったんだな」、
と気づければ、怒りの熱もスッと冷めていく。

怒らない人ほど“セルフケア”を大切にしている

種市さんは「怒りをコントロールするには、
まず心の余白をつくることが重要」と語っている。

つまり、“怒り”とは心の疲れやストレスが、
噴き出したサインでもあるということ。

 

たしかに、忙しい日や睡眠不足のときほど、
些細なことでカッとなる。

逆に、気持ちにゆとりがあるときは、
多少のことも笑って受け流せる。

だからこそ、“怒らない習慣”を作るには、
「自分の心と体をメンテナンスする時間」が何より大切なのだ。

 

具体的には、睡眠、運動、食事、そして呼吸。

これらを整えるだけで、
心は見違えるほど安定してくる。

私も最近、朝のウォーキングを始めた。

歩くリズムに合わせて呼吸を深めると、
不思議とイライラも減っていくのを感じる。

 

怒らないとは、「抑えること」ではなく、
「整えること」なのだ。

怒りをなくすのではなく、
“湧かない心”の状態をつくる。

これは、とても優しいアプローチだと思う。

今回のまとめ

『怒らない習慣力』を読んで気づいたこと、
それは「怒りとは、自分で選べる感情だ」ということだった。

感情の波は自然にやってくる。

でも、その波に飲み込まれるか、
乗りこなすかは、自分の“習慣力”にかかっている。

 

怒りを感じたら「いま、怒ってるな」と認識し、
一呼吸おいて選択する。

そんな小さな訓練を重ねていくうちに、
怒りは自然と“選ばない選択肢”になっていく。

怒らない人は、怒りを知らない人ではない。

むしろ、誰よりも怒りと丁寧に向き合い、
習慣的にコントロールしている人だ。

 

私もまだ道の途中だけれど、
怒りで関係を壊す前に、
一歩立ち止まれる自分でいたい。

そう思わせてくれた一冊だった。

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いかがでしたでしょうか?

最後まで読んでくださりありがとうございます。

少しでもヒントになればうれしく思います。