飛行機を見上げると、思い出す小さな逸話がある。派手でも劇的でもないけれど、なぜか心の奥に残り続けている話だ。それは、あるベテランの客室乗務員が、ぽつりと教えてくれた一言から始まる。「裕福な人かどうかは、すぐ分かるんですよ」。その言葉は、上空一万メートルの静かな機内で、私はゆっくりと想像する。裕福とはほど遠い今の自分も、せっかくなら、裕福な人の振る舞いを装うことはできる。真似ているうちに、なんとなく裕福な人の気持ちになるようで、それは、人格のある人でもあり、私の最後はそういう人でありたいと思うところ、エッセイ風によせて綴ってみました。

裕福さは、見た目よりも先に滲み出る

ブランドや座席のクラスではなく、
ふるまいの端々にこそ、
その人の余裕は表れるのだと気づかされた。

搭乗してすぐ、目が合った瞬間に
軽く会釈をする人がいる。

それだけのことなのに、
空気がふっと柔らぐ。

 

急いでいるはずなのに、
通路を塞がないように体を引く人。

飲み物を受け取るときに、
自然にありがとうと言う人。

 

彼らは決して目立たない。

むしろ静かで、
存在感を主張しない。

けれど不思議と、
周囲の人の呼吸を乱さない。

 

客室乗務員の話を聞きながら、
私は思った。

これはお金の話ではない。

心の中に、どれだけ余白を持って
生きているかの話なのだと。

余裕は、他人への扱い方に現れる

自分がどう見られるかよりも、
相手をどう扱っているかが、
その人の豊かさを映し出す

トラブルが起きたとき、
人は本性を見せる。

遅延、座席変更、
希望の飲み物がない。

そんな小さな出来事に対して、
声を荒げる人もいれば、
状況を受け止めようとする人もいる。

 

裕福だと感じられる人ほど、
相手を責めない。

説明を遮らず、
感情をぶつけない。

きっと人生の中で何度も、
思い通りにならない場面を
くぐり抜けてきたのだろうと想像してしまう。

 

余裕とは、常に
うまくいっている状態ではない。

うまくいかない瞬間に、
どう振る舞えるか。

その選択の積み重ねが、
静かな品格をつくっていく。

豊かさは、今この瞬間の扱い方で決まる

時間や人を雑に扱わないことが、
結果として自分自身を豊かにしていく

飛行機の中は、
不思議な場所だ。

 

肩書きも役職も、
地上に置いてくる。

残るのは、今この数時間を
どう過ごすかという態度だけ。

 

スマホを乱暴に操作するのも、
隣の人に無関心でいるのも、
客室乗務員を呼びつけるように扱うのも、
すべてはその人の日常の延長線にある。

逆に、静かに本を開き、
窓の外を眺め、自分の時間を
丁寧に過ごす人を見ると、
ああ、この人は日常でも
自分を追い立てていないのだろうなと思う。

 

豊かさは、特別な日に
宿るものではない。

こうした何気ない瞬間に、
そっと姿を現す。

本当の裕福さは、態度として生き方に出る

今この瞬間をどう扱うかを変えることが、
誰にでもできる小さな自己投資になる

この逸話を思い出すたび、
私は自分に問いかける。

 

私は今、余裕を持って
振る舞えているだろうか。

目の前の人を、
丁寧に扱えているだろうか。

 

答えはいつも完璧ではない。

けれど気づくことが、
最初の一歩になる。

  • 声のトーンを少し落とす
  • 相手の話を最後まで聞く
  • ありがとうを、惜しまない

それだけで、
世界の手触りは少し変わる。

 

あとがき:裕福になりたいと思う気持ちは、決して悪いものではない。けれどもし、本当に目指したいのが心の豊かさなら、今日のふるまいを一つだけ整えてみるといい。飛行機に乗らなくてもいい。レジの前でも、エレベーターの中でも、私たちは毎日、試されている。どんな態度で、この瞬間を生きるのか。その選択が、静かに、確実に、人生を豊かにしていく。…のかなと思っています。

 

いかがでしたでしょうか?

最後まで読んでくださりありがとうございます。

少しでもヒントになればうれしく思います。