日本の夏の行事のひとつといえば「お盆」です。お盆は地域によって7月のお盆と、8月のお盆があります。お盆はふるさとへの帰省の時期でもありますし、盆と正月と言われるように1年の2大イベントのひとつです。ところが2021年も続くコロナ禍のお盆となり、例年通りの穏やかなお盆とはなかなかいかないようです。家族が一同に揃うことは難しくとも、先祖の霊に手を合わせる気持ちは持ちたいもの。お盆のことをちょっぴりおさらいをしながらコロナウィルスの一日も早い終息をお祈りしつつ、霊に対しておもてなしをする日本のお盆についてご紹介します。
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目次(ページコンテンツ)
コロナ禍「葬儀離れ」に逆風”つながりたい”、”祈りたい”思いは強まる
AERA(2020年6月8日号)の記事では、近年の日本では”家族葬”や最近では火葬だけの”直葬”など、お別れの儀式は簡略化される傾向があったが、いっぽう「つながりたい」「祈りたい」という思いは水面下で大きくなりつつあるようだとありました。
葬儀社大手の公益社が行ったアンケート結果
引き続きAERAの記事より。
葬儀社大手の「公益社」が行った、「新型コロナウィルスの影響で葬儀を縮小した場合、感染拡大の終息後にどのようなことをしたいか」というアンケートの質問に対する声について取り上げていました。
最も多かったのは「故人を偲ぶお別れ会をしたい」。
新型コロナをきっかけに、葬儀の簡略化はますます顕著化すると思われていましたが、きちんとお別れをしたいという意識は強く、葬送の場が必要とされていることがわっかったと公益社の広報担当。身内知人が集まれない、お別れの気持ちを共有できないという心苦しさに、せめてオンラインでもいいから”つながりたい”、”祈りたい”という気持ちが正直に表れているようだと。
「広く社会で共有して故人を悼むことができれば遺族にとっても慰めになる」とありました。
志村けんさん、岡江久美子さんの悲しい別れ
お二人の逝去は特に新型コロナウィルスの怖さを、そしてお別れができずに旅だってしまった故人への想い、悲嘆を分かち合うこともできない無力感をどれだけの人が感じ涙を流したことか。ご遺族の皆さんの悲しみの重さを思うと考えさせられてしまいました。
ここでも、せめてお別れ会を開きたいという公益社のアンケート結果に理由もなくうなずけてしまいます。さらにコロナウィルスの感染がまだまだ続くとなると、お別れ会を開くこともできない。そうなると、法事法要、そしてお盆などのはたす役割は、よりその意味や価値が求められるように思います。
法事法要、お盆が単なる儀式ではなく”つながり”と”祈り”ができる小さくても大事な場でもあるのです。
お盆はいつ?何するの?
ご存知の通り、お盆は先祖の精霊をお迎えし、家族で供養をする期間のことを指します。提灯を吊るし、盆棚などお飾りをします。家族が一同に集まり、僧侶が家をまわってお経をあげていただきます。
参考サイト:「日本の行事をしろう!」「仏教ウェブ入門講座」
お盆の時期には新盆と旧盆があります
お盆は7月に行う地域と8月に行うところがあります。基本的に違いはなく、単純に期間が違うということ。もともとはお盆は7月だったんですね。明治以降に8月に行うようになったとあります。
ちょうど明治政府が旧暦から新暦の太陽暦に切り替えたことで、一ヶ月遅れのお盆の誕生となったそうです。7月は農作業などは忙しい時期なだけに、8月のお盆が定着したようですね。
これで、旧暦の7月のお盆を「旧盆」というわけであります。
初盆とは?
葬儀を行った後の四十九日(しじゅうくにち)を過ぎた忌明け(きあけ・いみあけ)後、はじめて迎えるお盆が「初盆」になります。葬儀後から初盆までの流れをおさらいしてみましょう。
(葬儀後から初盆までの流れ)
●初七日・・・
命日を含めて七日目に行う法要。
故人が三途の川のほとりに到着する日。
三途の川の流れの緩やかな流れを渡れるようにと祈ります。
近年では葬儀の後に初七日方法を行います。
●四十九日・・・
葬儀の後、遺骨、遺影、白木の位牌を安置する後飾り祭壇で飾ります。
七日ごとの法要が行われ、七日×七回で四十九日の法要となります。
故人がこの世からあの世に旅立てるように供養します。
四十九日の期間が忌中(きちゅう)で四十九日をもって忌明けとなります。
この時、忌明法要を行い、遺骨や白木の位牌をお墓におさめます。
お盆の支度
旧盆は一般的に、8月13日~16日までの4日間。初日が”盆の入り”、最終日が”盆明け”、真ん中の14日を”中日”となります。お盆は迎え日近くに準備をはじめますが、初盆はお盆月に入ると準備をはじめるようです。
仏壇とは別に盆棚を用意して必要な仏具や食べ物を用意したり、「牛」や「馬」をキュウリやナスでお飾りを作ったりします。先祖の霊が「馬」に乗って早く住み慣れた家に帰り、帰りはゆっくりと「牛」の背中にゆられてあの世に戻って頂くようにと願いが込められているんでしたね。
先祖の霊が迷わぬよう迎え火を焚いたり、提灯をお飾りしたり、家族の想いが込められます。
お盆に行われる地域イベント
お盆の時期にはいろいろな地域イベントが行われます。
(お盆のイベント)
- お盆入りの迎え火
- お盆明けの送り火
- お盆のお墓参り
- お寺での盂蘭盆会、初盆法要
- 精霊流し、灯篭流し
- 盆踊り
などなど。
お盆は、地域の文化としても根付いているわけです。
お盆の由来
お盆のはじまり、由来はなんでしょう?
お盆の正式名は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」
お盆の正式名称は、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。これを省略して「お盆」と言うようになったと。盂蘭盆会とはサンスクリット語で「逆さ吊りの苦しみ」を意味するそうです。
「逆さづりの苦しみ」とは、どういうことでしょうか?
釈迦の弟子である目連(もくれん)は神通力で亡き母が地獄で逆さ吊りの刑をうけていることを知ります。なんとかして母を救済できないかと思い、釈迦に教えを乞いました。
そこで釈迦は「旧暦の7月15日(現在の8月中旬ごろ)に多くの高僧を心から供養すれば、三途の苦しみから救えるでしょう」と伝えます。そして目連はそのとおりに実践したところ、母親が無事往生することができた、というものです。
このお経が日本に伝わり、旧暦の7月15日に、先祖の恩に感謝して、お墓参りや迎え火などのお盆の行事がはじまったといわれています。
引用元: お坊さん便「お盆の由来って?」
施餓鬼とは
お盆の時期に行われる仏教の行事のひとつに、「施餓鬼(せがき)」があります。餓鬼、あるいは餓鬼仏(がきぼとけ)と言われてますのは、生前の悪行によって無縁仏となっているような霊のことで、常に飢えと渇きとに苦しんでいるもののこと。施餓鬼とはそうした餓鬼仏にも食べ物や飲み物などで供養をしてあげるということ。
お盆では仏壇とは別に盆棚を用意してお飾りするのは、先祖の例だけでなく餓鬼仏の霊も供養するためというわけです。お寺で日にちをもうけて盛大に行わる「施餓鬼法要」もあります。
お盆は、先祖の供養と同時に餓鬼の供養も行っていると、霊に対するおもてなしの心なのです。
私の感想
先祖の霊が家に帰る際に迷わぬようにと工夫をしたり、お迎えもお見送りも忘れない。それは先祖の霊だけでなく、苦しむ餓鬼仏の供養までもを忘れず供養にあたる。例に対してどこまでもやさしい。
さまざまな霊をみんなで供養し冥福をお祈りするなんて、なんともやさしいお話しでもあります。コロナ禍で葬儀も参列が難しく十分な供養ができず悲しみが増すご遺族の方々のことを思うと、せめてお盆だけはゆっくりと供養ができたらと願いつつ、亡くなられた方のご冥福をお祈りする次第です。
あわせてコロナウィルスの終息も願いたいものです。
(marusblog記事紹介)
今回のまとめ
コロナ禍が続く中、亡くなられた方とのお別れができずにより悲しみが増しているというアンケート結果に、法事法要、そしてお盆の役割も変わっては価値も増しているようです。
その中でお盆は、「盂蘭盆会」からの由来、暦の変更で新盆と旧盆と地域によって違うこと。あの世からこの世に帰ってくる先祖の霊を供養する行事であることでした。
提灯を吊るし盆棚などお盆の飾りの意味などを知るにつけ、先祖の霊と餓鬼仏の苦しむ霊も一緒に供養をして冥福を祈るその精神は、仏教のやさしさを改めて知る機会でもあり日本人にとって大切にしたい心でもあります。
お盆は先祖の霊も餓鬼仏も、家族も近所も全員集合のおもてなしタップリの日本の夏の行事!残念ながらコロナ禍で集まりにくい今年のお盆だからこそ、お盆の願いの気持ちを忘れずに一日も早いコロナウィルスの終息も願いたいところです。
霊や魂に静かに手をあわせる心の余裕こそ、せめてこの時期に感じ合わせたいものでもあります。
いかがでしたでしょうか?
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