
人生には、目に見えない「壁」がいくつも立っている。仕事の壁、人間関係の壁、年齢の壁、老いの壁。でも養老孟司さんは、この壁を「乗り越えるもの」とは言わない。むしろ、「壁があること自体が、人生なんだ」と、淡々と、でも深く語りかけてくる。この本を手にすると、背中を押されるというより、肩の力がすっと抜ける。がんばらなくていい。わからなくてもいい。壁の前で立ち止まる自分も、ちゃんと生きている。そんな声が、静かに聞こえてきます。
壁は、突然現れるものではない
人生の壁というと、
何か大きな事件が起きて、
ドンと目の前に現れるものだと思いがちだ。
でも養老さんは、
壁はずっと前から、
そこにあると言う。
気づいていなかっただけで、
見ないふりをしてきただけ。
ある日ふと、
避けられなくなった瞬間に
「壁だ」と感じる。
仕事がうまくいかないのも、
体が思うように動かなくなるのも、
人と分かり合えない苦しさも、全部そうだ。
壁は外からやってくる敵ではなく、
自分が生きてきた時間の
積み重ねの結果として、静かに立っている。
だから、壁に
ぶつかるのは失敗ではない。
ちゃんと生きてきた証拠なのだ、
と教えてくれる。
わからないことを、無理に理解しなくていい
現代は「わかること」が
正義のように扱われる。
説明できないとダメ、
言語化できないと価値がない。
でも養老さんは、わからないものは、
わからないままでいいと言う。
人の気持ちも、生きる意味も、
老いる感覚も、全部を
理解しようとするから苦しくなる。
本当は、人間は
そんなに賢くない。
体が先に感じて、頭は
あとから理由を探しているだけだ。
わからない壁の前で、
無理に答えを出そうとしなくていい。
「わからないなぁ」と立ち止まる時間も、
人生の一部なのだ。
壁の正体は、自分の外ではなく内側にある
壁というと、
社会や他人のせいにしたくなる。
あの人が悪い、
時代が悪い、
環境が悪い。
もちろん、それもある。
でも養老さんが繰り返し語るのは、
人間の壁は、結局、
自分の内側にあるということだ。
思い込み、常識、
こうあるべきという考え。
それが、知らないうちに
自分を縛っている。
年を取ることを怖がるのも、
変われないと嘆くのも、
実は「そう思い込んでいる」だけかもしれない。
壁を壊す必要はない。
ただ、「あ、これは自分の考えだったんだ」と
気づくだけで、景色は少し変わる。
今回のまとめ
-壁の向こうに行かなくても、
人生は進んでいる
この本が一番伝えたいのは、
壁の向こう側に行けなくても、
人生は失敗じゃないということだと思う。
乗り越えなくてもいい、
回り道してもいい。
立ち止まっても、
引き返してもいい。
人は、壁を前にして悩み、
考え、迷うことで、生きている。
壁があるから、
自分の輪郭がわかる。
壁があるから、
無理をしなくていい理由が生まれる。
人生は、
一直線に進むものじゃない。
壁の前で足踏みしている時間も、
ちゃんと前に進んでいるのだから。
あとがき:本書を手にして、すぐに何かが変わったわけじゃない。相変わらず、やることは多いし、考えごとも減らない。でも、その日の夕方、近所を散歩しながら、「今日だって、特にがんばってないな」と思った瞬間、なぜかそれを責める気持ちが湧かなかった。答えを出さなくても、結論を急がなくても、体がここにあって、呼吸をしているなら、それでいいと思えて。何かを学んだというより、日常に少しだけ空白があることに気づかされたみたい。その空白に、焦らない自分がいるんだって。たぶんそれだけで、今は十分なのだと思うのです。
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いかがでしたでしょうか?
最後まで読んでくださりありがとうございます。
少しでもヒントになればうれしく思います。

