わたしたちは、悩みをとてもまじめに信じて生きている。頭に浮かんだ不安や違和感を、そのまま現実として抱え込み、「これは大事な問題だ」と胸に抱きしめてしまう。石川幹人さんの『その悩み、9割が勘違い』は、そんなわたしたちの思考に、やさしく、しかしはっきりと待ったをかける一冊。不安は事実ではなく、脳の仕様や進化の名残から生まれる勘違いかもしれない。そう聞くと、少し拍子抜けする。でも読み進めるほどに、肩の力が抜けていく。悩みは消さなくていい。ただ、正体を知ればいい。その視点が、この本全体を静かに貫いている。

悩みは現実の顔をした想像

わたしは以前、
メールの返信が来ないだけで、
一人反省会を何時間も開く人間だった。

嫌われたかもしれない、
失礼なことを書いたかもしれない、
この仕事はもう終わりかもしれない。

 

脳内では、次々に最悪の
シナリオが上映される。

しかも妙に高画質だ。

 

本書を手にして気づいたのは、
その大半がまだ起きていない
未来だということだった。

不安は未来からやって来て、
確定事項のふりをする。

でも現実と想像は、
本当は別のものだ。

 

わたしは不安が浮かぶたびに、
これは出来事か、それとも予想か、
と心の中で問いかけるようになった。

それだけで、
悩みは事実の席から降りて、
端っこの丸椅子に移動する。

 

消えはしないけれど、
主役ではなくなる。

世界は意外と、
それだけで静かになる。

やる気が出ないのは、怠けではない

続かない、動けない、
頑張れない。

そんな自分を、
わたしたちはすぐ性格のせいにする。

でも本書が教えてくれるのは、
もっと身もふたもない、
そしてやさしい理由だ。

 

人の心には、
ホットハートとクールマインドという
二つの思考がある。

ホットハートは、
休む、食べる、避けるといった、
生き残るために役立つ行動が大好きだ。

 

一方で、勉強や仕事のような
現代的な行動には、
いまひとつ乗り気じゃない。

雨の日にやる気が出ないのも、
人前で緊張するのもそうだ。

ダイエットが続かないのも、
だいたいはこのホットハートの仕業だ。

 

わたしはこれを知ってから、
やる気の出ない朝に自分を叱るのをやめた。

今日はホットハートが
雨音に負けているな、
と少し笑ってみる。

 

すると不思議なことに、
責めないほうが、
結果的に動ける日が増えた。

心は、叩くよりも、
なだめたほうが動くらしい。

感情は永遠ではない

悩んでいる最中は、
それが一生続くように感じてしまう。

あのときの苦しさ、
この先もずっと
抱えて生きる気がする。

 

でも感情は、思っている
以上に移ろいやすい。

昨日の悩みを、
今日の夕方には
忘れていることだってある。

 

わたしにも、
人生最大の悩みがいくつもあった。

眠れず、世界が
灰色に見えた夜もある。

 

でも今、それを即答できるかと
聞かれると、少し考えてしまう。

たぶん、それくらいの
重さだったのだ。

 

本書は、そんな感情の賞味期限を、
そっと教えてくれる。

今の気持ちは、
永住者ではない。

 

期間限定の滞在者だと思えば、
少し扱いが変わってくる。

今回のまとめ

-悩みと距離を取るという選択

本書を通して感じたのは、
悩みをなくすことより、
距離感を変えることの大切さ。

 

不安は敵ではなく、
勘違いしやすい同居人。

追い出そうとすれば暴れるし、
信じすぎれば居座る。

 

だから同じテーブルには
座らせるけれど、主役にはしない。

悩みがあってもコーヒーを飲み、
洗濯をし、散歩に出る。

それでも世界は
ちゃんと回っている。

 

その事実を思い出すだけで、
行動は変わらなくても、
心の圧は確実に軽くなる。

 

あとがき:悩みが浮かんだら、まず少し立ち止まってみる。解決しようとしなくてかまわない。その悩みが「今起きている事実」なのか、「頭の中で作られた予想」なのかを、静かに確かめるだけで十分。そして、その気持ちを消そうとせず、「そう感じているんだな」と受け止める。脳が安全を守ろうとして騒いでいるだけだと思えばいい。あとは悩みを抱えたままで、コーヒーを飲む、歩くなど、いつもの行動を一つ続けてください。不安を消すより、日常を続ける。それだけで、悩みは静かに後ろへ下がっていくのです。その悩み9割が勘違いなのですから。

 

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最後まで読んでくださりありがとうございます。

少しでもヒントになればうれしく思います。